PK-Cは11種類のアイソザイムからなり、その内因性のリガンドDAGと結合することによって活性化され、 細胞内で重要な作用を示します。また、PK- Cはがんやアルツハイマー病と深く関与しており、 創薬標的としても注目されています。我々は、DAGのグリセロール骨格を環に環化することにより、 PK- Cとの結合に必要な官能基である分子中の3個のカルボニル基およびヒドロキシ基を空間的に固定化し、 結合活性を上昇させるというストラテジーのもと、多数のDAG-gamma-lactone誘導体を合成しました。 結果として、PK-Cとの結合に適したgamma-lactone環テンプレートを創出することができ、 また、phorbol esterに匹敵する結合活性を有するDAG-gamma-lactone誘導体を見い出すことができました。 今後、PK-Cの作用の詳細な解明やがん、アルツハイマー病治療薬の創製の研究には、 PK-Cの各アイソザイムに特異的な活性化剤および阻害剤が必要になります。 我々はphorbol esterよりもシンプルな構造を持つDAG-gamma-lactone誘導体を基にして、 PK-Cの各アイソザイム特異的化合物の開発と創薬展開を進めています。 以上の研究は、玉村教授がDr. V. E. Marquez (National Cancer Institute)の研究室に留学した時に始めたものです。
研究内容・業績
- 研究内容
- ドラッグ・ディスカバリーのための構造固定化テンプレートの合成
- ペプチド結合等価体、機能性ペプチドメミティクの合成
- 中分子創薬: HIV感染、がん、関節リウマチをターゲットとしたCXCR4アンタゴニストの創製
- Protein kinase C (PK-C)結合活性の向上を目指した
diacylglycerol (DAG)の環化誘導体の合成&分子生物学的アプローチ - 中分子創薬: 新規概念によるHIVワクチンの創製および抗エイズ薬の開発
- バイオ(蛍光)プローブの創製と細胞表層タンパク質のイメージング研究
- タンパク質(protein kinase C等)-リガンド複合体の構造解析と薬物設計への展開
- HIV-1マトリックスタンパク(MA)を標的としたペプチド性阻害剤の抗HIV-1活性評価と創薬展開 (国立感染研・村上努第三室長、山本直樹センター長との共同研究)
- 動物モデルを用いたエイズウイルス感染症の発症機序の研究とワクチン開発 (国立感染研・森一泰主任研究官、山本直樹センター長との共同研究)
- 研究業績
- 最近の受賞