もとのペプチド結合に酷似したジペプチドイソスターの立体選択的合成法の開発とその応用研究は、 ペプチドを医薬品に結び付けるための非ペプチド化へのgeneral strategyを提供する意味で、 非常に重要であると考えられます。我々は、アジリジンalpha,beta-不飽和エステルの酸による 位置選択的開環反応を開発し、有機銅試薬あるいは有機亜鉛銅複合試薬を用いた反応を組み合わせることにより、 1種類の基質から2種類の(E)-アルケン型ジペプチドイソスターを立体選択的に合成する方法を開発しました。 本法の開発によりアミノ酸を出発原料として[L,L]、[L,D]、[D,D]、[D,L]型の(E)-アルケン型イソスターを 合成する全行程立体制御合成ルートを確立することができました。 実際、ペプチド結合をアルケンで置換した化合物を合成し、顕著な活性を有するアンタゴニストおよび酵素阻害剤を創製しております。 また、さらに別種のジペプチドイソスターの合成法の開発や生物学的有用性の検討を行っています。
研究内容・業績
- 研究内容
- ドラッグ・ディスカバリーのための構造固定化テンプレートの合成
- ペプチド結合等価体、機能性ペプチドメミティクの合成
- 中分子創薬: HIV感染、がん、関節リウマチをターゲットとしたCXCR4アンタゴニストの創製
- Protein kinase C (PK-C)結合活性の向上を目指した
diacylglycerol (DAG)の環化誘導体の合成&分子生物学的アプローチ - 中分子創薬: 新規概念によるHIVワクチンの創製および抗エイズ薬の開発
- バイオ(蛍光)プローブの創製と細胞表層タンパク質のイメージング研究
- タンパク質(protein kinase C等)-リガンド複合体の構造解析と薬物設計への展開
- HIV-1マトリックスタンパク(MA)を標的としたペプチド性阻害剤の抗HIV-1活性評価と創薬展開 (国立感染研・村上努第三室長、山本直樹センター長との共同研究)
- 動物モデルを用いたエイズウイルス感染症の発症機序の研究とワクチン開発 (国立感染研・森一泰主任研究官、山本直樹センター長との共同研究)
- 研究業績
- 最近の受賞